ドーバーのオーシャンライナー3部作のうちの中期編
外洋客船の基礎資料的価値を持つウィリアム・ミラーのドーバー3部作。中期編1927年から1954年、黄金時代をフューチャーしています写真集・本の解説
客船について知りたいのであれば、まずこの3冊という定番になっているのがニューヨーク、ドーバーパブリケーションから出版されているビル・ミラーの"The First Great Ocean Liners,1897-1927", "The Great Luxury Liners,1927-1954", "Great Cruise Ships and Ocean Liners,1954-1986"です。著者やコレクターの資質や嗜好で内容の濃淡に悩まされることなく、いずれも同じ編集方針に拠るため、客船の発達や世情などが流れに沿って読めます。 客船の大西洋横断はタイタニックの悲劇(1912)を経て、より安全により速くを目指し日進月歩の黄金時代を迎えます。その技術力の高さを見せ付けたイタリアのレックス(1932)、フランスが国家の威信を賭け国費を投入して造った、史上最高の客船ノルマンディー(オーナー小野寺も同感です)、海運国としての覇権を保つために造られたクィーンズ(キュナードのクィーンメリとクィーンエリザベス)、華々しいブルーリボン=大西洋を最速で横断した客船へ与えられる栄誉を巡る競争が繰り広げられました。実質は、戦前でこの黄金時代は終わりますが、本書ではその終焉を飾ったSSユナイテッドステーツまでを豊富な写真で振り返ります。写真家・著者・編者について
Bill Millerは1948年、ニュージャージー州のホーボーケン(ハドソン川を挟んで、マンハッタンの対岸に位置する町)に生まれ、子供の頃からニューヨーク港に入港する船を見て育ち、そこで見た光景に突き動かされ、客船の研究家、講演家となりました。熱心な研究に裏打ちされたプレゼンテーションと表現力には定評があり、カリフォルニアのロングビーチで保存されているクィーンメリー号にて開催された講演会の記録から言葉を借りれば「ビルの話を聞くことは特別なこと」とされ、収益がすべてクィーンメリーの保存資金にされた$35の講演会は満席だったといいます。ワールド・シップ・ソサェティ、ニューヨーク支部のチェアマンや数々の団体や博物館の理事などを務める傍ら、彼の著した客船の本は60冊以上にも上ります。これだけの著作が可能なのは、もちろんその研究熱心なところに拠るものですが、彼自身も世界有数の客船ヴィンテージ写真・葉書のコレクターであると同時に、その研究熱心に対して多くの協力者(世界的な客船写真コレクター、フランク・ブレイナードやアーノルド・クルダス、日本の野間恒も写真を提供したことがあります)が存在することによります。
彼の著作は、彼自身のパブリシティー会社のクレジットWilliam H., Jr. Millerで世に出ますが、中でもDoverから出版されているオーシャンライナーシリーズは、ペーパーバッグ装丁ではではあるものの、一環した編集方針が貫かれているため、あくまで芸術的観点を重要視するのであれば不向きですが、客船に関するスペックやエピソードなど豊富な知識を得たいのであれば、現在、最適な参考書になりえるものとして定着しています。
本 写真集の仕様・概要
書名 : The Great Luxury Liners, 1927-1954 ザ・グレート・ラグジュアリー・ライナーズ、1927-1954体裁 : ペーパバッグ、176ページ、300mm X 225mm、英語
著者 : William H., Jr. Miller ウィリアム・ミラー
出版 : Dover Publications 1981年
ISBN : 0486240568
現地参考価格(本体表示価格) : $14.95(USA)














