海 ポスター : 客船の復刻ポスター "United States Line"
アールデコの巨匠、カッサンドルが描いたファンネル(客船の煙突)をシンボライスしたユナイテッドステーツラインの客船ポスターです。印刷ではなく、オリジナルポスターをデジタル技術で復刻したミュージアムクォリティーのプリントですポスターの解説
アールデコの巨匠カッサンドルによる1928年に使用されたユナイテッドステーツラインのポスターです。このプリントは、いわゆる印刷とは違い、オリジナルのヴィンテージポスターをデータ化し、アートペーパーにインクジェットプリントしたもので、美術館によるオリジナル保存のための摸刻展示などにも利用される、デジタルジクレーという手法で製作されたものです。歴史の綾はいろいろな視点から垣間見ることができます。20世紀の初頭、未だアメリカは新興国家であり、その存在が揺ぎ無いものになるのが第二次世界大戦後のことであることは、当時、北大西洋で繰り広げられる客船運航の覇権争いにアメリカが無縁であったことからも窺い知ることができます。アメリカ唯一の北太平洋航路の客船運航会社ユナイテッドステーツラインは、19世紀末に英国のインマンラインを買収したもので、純粋な民族資本で造船と運行を担う国力に乏しかったというのは興味深い事実です。英国、フランス、ドイツ、イタリアの各国が華々しく北大西洋航路の主役の座を争っているとき、ユナイテッドステーツラインは対抗できる船さえ持っていませんでした。第一次大戦後、アメリカが戦時賠償でドイツから得たのが、5万トン級の客船、リバイアサンです。元の”ファーターラント”をリバイアサンに改装するときの話は今日に伝わっています。改装を請け負ったウィリアム・ギブスが、ドイツの造船所に図面を請求したところ100万ドルを要求されました。怒りに震えるギブスは、自ら実測にかかり図面を起こし、リバイアサンを改装したのです。この経験が5万トン級の客船の造船ノウハウをギブスに与え、30年後には史上最速の客船”ユナイテッド・ステーツ”を設計することに繋がるのです。さて、1923年再就航、新興国アメリカが初めて欧州列強と肩を並べた客船リバイアサン、改装によって最高速力は25ノットを越えるところまで行きます。1927年には2700名もの乗客を記録しますが、1929年には世界恐慌で乗船客は激減することになります。このポスターはやがて来る世界恐慌を前に、リバイアサンの乗船客数も順調な折にユナイテッドステーツラインがアールデコの巨匠、カッサンドルに依頼して1928年に製作されたものです。極端にデフォルメされた象徴主義と判りやすいタイポグラフィーがカッサンドルの持ち味で、翌1929年には、やはりファンネルと吸気口の大胆な図案で有名なオランダアメリカラインの”スタテンダム”を描きます。このポスターではスタテンダムにくらべ、より象徴的にシンボライズされたファンネルで、むしろ本来的にはスタテンダムより高い評価を得てもおかしくないものと言われます。一番左と真ん中のファンネルの間にはカッサンドル自身のグラデーションの筆跡もリアルに再現された素晴らしい作品です。
フレーム入りポスターの仕様
作品名 :United States Line ユナイテッド・ステーツ・ライン作者名 :A. M. Cassandre アドルフ・ムーロン・カッサンドル
製作年 :1928
出版元 :Vintage Arte
印刷国 :U.S.A.(Degital Gicree)
額縁・マット : 白パール 40mm、ダークレッドマット、前面1.5mm厚クリアーガラス
額縁サイズ : 620mm x 800mm
作品サイズ : 375mm x 570mm (マット抜きサイズ)
ポスターのフレーム(額縁)詳細
ポスターの作者について
1901年、アドルフ・ムーロン・カッサンドルはウクライナで生まれました。少年時代にはセザンヌなど印象派を学んだそうですが、やがてバウハウスの影響を強く受けた作風に転向します。1922年には、商業作家として初めての作品を描き、パリを拠点として活動していたことにより、バウハウスを超えてアールデコ全体の代表的なアーティストと評価されてゆきます。アールデコの発祥は諸説ありますが、カッサンドルはキュービズムの影響を強く受け、エアブラシを用いた技法で、1920年代1930年代を代表するアーティストとなりました。余談となりますが、戦後フランスを代表するアーティストのレイモン・サビニャックもカッサンドルのもとで助手を務めていました。ポスター 詳細
※著作権保護のため透かしを入れていますが、実際のポスターには入っていません

















