海 ポスター : 客船の復刻ポスター "RMS Queen Mary"
戦前の客船黄金時代、最後まで大西洋横断速度記録を保持し、その総トン数でも1980年まで史上最大であり続けた名船クィーンメリー。1936年のデビュー当時に使用されたポスターです。印刷ではなく、オリジナルポスターをデジタル技術で復刻したミュージアムクォリティーのプリントですポスターの解説
1936年、客船クィーンメリー就航にあたって使用されたポスターの復刻ジクレープリントです。このプリントは、いわゆる印刷とは違い、オリジナルのヴィンテージポスターをデータ化し、アートペーパーにインクジェットプリントしたもので、美術館によるオリジナル保存のための摸刻展示などにも利用される、デジタルジクレーという手法で製作されたものです。1930年12月、スコットランド、クラウド川河岸の造船所で巨大な客船の建造が始まりました。後のクィーンメリーです。当時、欧州各国は巡航30ノット近い高速客船建造を競っていました。この速度であれば、4日で大西洋を横断し、2隻で東航、西航を週に一便運行できるからです。キュナード社は検討の結果、この速度では、採算面から乗客2000名、乗員1000名、全長300メートル超、8万トンクラスの船が必要とはじき出しました。8万トンの巨船の建造は容易ではなく、ドーバー海峡を距てたフランスではノルマンディが建造され、見事に所期の巡航速度を達成しブルーリボン(大西洋横断最速の客船の称号)を獲得するものの、建造費は全額政府出資、フレンチラインは国策会社となり2番船の建造までには至りませんでした。クィーンメリーも、折からの世界恐慌の影響で建造を中断、タイタニックの事故以来苦境にあったホワイトスター社との合併を条件に政府から融資を受け、1936年に竣工しました。キュナードの船のネーミングは伝統的に末尾は"ia"、クィーンメリーは”ビクトリア”という船名を予定していましたが、時の国王ジョージ5世が「偉大なる女王の名前を戴く」との説明を受けた際に、自らの妻の名前が用いられると勘違いして喜ばれたことから、国王の権威を重視し”クィーンメリー”と名づけられました。就航から2ケ月後、1936年8月、クィーンメリーは計測地点のビショップロックからニューヨーク・アンプローズ灯船を30.14ノットで駆け抜け、ノルマンディからブルーリボンを奪取、帰りの東航で30.63ノットを記録、計測地点間を世界で初めて4日間を切ることに成功します。その後ノルマンディとブルーリボン奪取合戦を繰り広げますが、第二次世界大戦が勃発すると軍隊輸送船として徴用されます。皮肉なことに、参戦翌日には待望の姉妹船”クィーンエリザベス”完成、こちらは客船として運行する間もなく軍隊輸送に従事、”クィーンズ”の2隻は、その高速でUボートの魚雷をかわし大量の兵員を輸送し連合国勝利に貢献しました。1947年、”クィーンズ”そろい踏みで大西洋航路運行再開しますが、やがて航空機時代がやってくると、キュナードの客船運航は1965年に赤字転落、クィーンメリーは1967年、丁度1000回目の大西洋横断を最後に商業運行を終え、運んだ乗客は累計130万人、現在もカリフォルニアのロングビーチでホテルクィーンメリーとして利用され、良好な状態で保存、戦前の大型客船で唯一現存している船となっています。
フレーム入りポスターの仕様
作品名 :RMS Queen Mary ロイヤル・メール・シップ・クィーンメリー作者名 :Jarvis ジャービス
製作年 :1936
出版元 :Vintage Arte
印刷国 :U.S.A.(Degital Gicree)
額縁・マット : 黒パール 40mm、ライトブラウングレーマット、前面1.5mm厚クリアーガラス
額縁サイズ : 620mm x 800mm
作品サイズ : 415mm x 570mm (マット抜きサイズ)
ポスターのフレーム(額縁)詳細
ポスターの作者について
Jarvis=ジャービスの詳しい経歴、来歴は不明です。1936年の"RMS Queen Mary"は優れた作品として高い評価(オリジナルにはとてつもない価格がつきます)を得ており、その画面をグリッド状に大胆に区切ったデザインによって、アールデコ様式の作家と分類されていますが、そこに描かれた船そのものは、全くデフォルメがされておらず、今日に伝わる1938年の"Cunard Whirte Star Cruises"や1934年前後に描かれたと思われる"Romance of the New World"を見る限り、むしろ伝統的な水彩画家だったのではないかと想像されます。アールデコのデザイナーというよりは、一世を風靡していたアールデコやバウハウスの影響を受けていたと見る方が正解のように考えられます。ジャービスの作品は前述、3枚のキュナードのポスターしか知られていないこと、デザイン的には最先端の流行に影響を受けつつも伝統的な水彩画家であったことなどから英国人と思われ、自然に考えればキュナードのインハウスデザイナーだったのではなかろうかと思われます。(この件、考証途上なので、後日加筆の可能性あり)ポスター 詳細
※著作権保護のため透かしを入れていますが、実際のポスターには入っていません














