08/21 崖の上のポニョ

7月の末だったか、NHKのBSでルパン三世の特集をやっており、1971年放映のオリジナル版23話を4日間に渡り一挙に放送した。義姉は同年代なのだが、女姓ながらルパンの大ファンで、所用で録画できないとかで一日分の録画を頼まれ、それでこの一挙放送を知らされ、結局、23話殆どを見る羽目になったが、やっぱり素晴らしい。オリジナル放映時、当時小学生だった僕は、このルパン三世にかなりショックを覚えたもので、周知のとおり、日曜の19:30というゴールデンタイムながら後半になっても9%程度の視聴率しかなかったそうだが、僕はその9%の視聴者のうちのひとりだった。断っておけば、僕は所謂オタク系アキバ系の人ではないから、アニメ何でもというわけではなく、むしろ家業が家電販売業であったにも関わらず(屋号なんて四谷テレビ・・・言わばテレビ屋さんだ)父はテレビを見ることについてかなり厳しく、父のいるところで堂々とテレビを見ることのできる家庭状況にもなく、むしろアニメとかには疎い方だ。それにも関わらず、どんな手段で見たものかルパンだけは頑張って見ていた。無論、宮崎駿の存在など当時知る由も無い・・・

大体において、映画館に行く習慣を持ち合わせないので、宮崎作品もほとんどはテレビで見るわけだが、ウィルクハーンに転職した時、当時の同僚のひとりから「小野寺さんってネコバスに似てるね・・・」といわれ、ネコバスが何だかも分からなかった。程なく、トトロをテレビで見る機会があり、複雑な心境になったものだが、何も分からず見たわりには「カリオストロの城と同じ人が作っているんじゃあ・・・」と思ったもの。ここに至ってやっと宮崎駿さんの存在を知るにいたるわけだが、そんな宮崎アニメの中では紅の豚が大好きでDVDまで買ってしまった。思えば、我が家はジリジリと包囲されていたのかもしれない・・・

長女は生まれた時から顔が出来上がっていて、まるで大人がそのまま小さくなって出てきたようなところがあったが、次女はまさにお猿さんのような顔で生まれ、そのあまりの違いに「大丈夫かな?」と心配したものだ。その次女が育つにつれて・・・親である僕が言うのは何だが、トトロのメイちゃんにそっくりなのだ。いつも我が家にはメイちゃん実写版がいるのだと思っていただきたい。と、日頃思っていたら・・・ポニョ・・・メイちゃん以上にそっくりなのだ。長女はそれなりに妹を守る気持ちなのだろう、僕に「Mには首があるよ!ポニョは首がないよ!」と怒鳴るのだが、僕にはポニョの実写版が家にいるように思えてならない。ポニョが頭から離れない日々を送りつつ、でもまだ映画館で映画ってえのは小さくて無理だよなあ・・・いつDVDがリリースされたら買うか・・・とか思って過ごしていたのだが、海洋少年団のMさんが息子さんとポニョを見た帰りに店に寄ってポニョの話をする。Mさん曰く「トトロの海版だよ!」・・・先週、泳ぎに行ったら前回の日記でも書いたポニョに似たフグを仲良くなって・・・

完全に包囲されたのだ。月曜の夜、チャリンコを走らせ汐入のシネマ8へ。「ポニョ、大人1枚、子供2枚、明日の14:10で!」・・・残念ながら、僕は仕事の都合で行けなかったが女房と子供達、ポニョを楽しく見ることが出来たようだ。考えてみれば、先日ドキュメンタリーでポニョの製作記をやっていたが、宮崎駿さんの一作ごとの消耗振りを見ていると、今度こそいよいよ最後かもしれない。そうなると、娘達にとっては宮崎作品を映画館でみる最初で最後のチャンスなのだ。お陰で僕は床屋代を使ってしまったので、髪が少しむさくるしい。

ポニョから一晩明けた昨日は、多分、今年最後になる観音崎での海水浴。もう海藻だらけで、澄んだ潮では無くなってきた。日差しは強くも風は少し秋模様、水に使った肌が寒い。「さあ、最後の一泳ぎだぞ!」と海に入ってゆくと・・・あの海藻を尻尾に付けたポニョフグがいた。次女は急に泣き出した。一瞬しか見えなくて、さよならが余程悲しいらしい・・・

崖の上のポニョについて映画評論筋からは批判めいた意見も多いようだ。これは、まったくあたらないと思う。邦画で100億円を超える作品など誰も作れないのだし(おまけに入場者は子供が多い、ということは大人だけが見る映画より動員数が多きはずだ)、それはそれだけの支持があるということ、常に批判精神が文明、文化、社会思想を進歩させてきたことは認めるが、たかが娯楽である、何を期待しているのだろう?。たかが娯楽・・・そんな刹那的なところが宮崎作品の魅力だと思う。まだ、ご覧になっていない方は、このポニョ、ご覧になることをお勧めする。海洋少年団のMさん、体育会系の強面(根は優しい)だが、このMさんが大層感心しておられた。もちろん我が愚妻もである。子供だけのための作品ではないと思う。(2008,8,21)

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