オーシャンライナー

英国キュナードのポスターやら前回書いた帆船ビクトリー・・・ここに来るお客様は「いい趣味ですねぇ」とか「道楽ですか?」とかおっしゃる・・・いえいえ、大真面目に仕事です!(苦笑)しかし、僕のその時々の強い興味の方向に店が引っ張られているのも事実で、趣味と言われて、「違います」と言下に否定することはできまいあなあ・・・店のオープンから使っていたショップカードは灯台だったが、この1年ほどはクィーンメリー2の図柄を使っている。僕も当たり前のことだが人間だから、同好の輩がお客様でお見えになると嬉しい。先日横浜から見えたYさんも素晴らしい”趣味”をお持ちだ。やはり客船関連に深い造詣をお持ちなのだが、いつも感じることながら、まるごと客船というくくりにはならず、これまたお一人お一人興味の方向が違う。Yさんの船舶模型へのこだわりは僕にとっても大変良い勉強になった。steam navigationなるブログを主宰しておられるので、1/1250、インタナショナルスケールのマイクロシップに興味のある方は、ご覧になれば楽しいこと請け合いである。
さて、昨今、思うところあってタイタニックの再研究に余念がないのだが、結局タイタニックを研究すればするほど、19世紀末から戦前までのオーシャンライナーの資料の読み直しという課題が付いて回る。そうなると、気分的に放っておけないのが”栄光のオーシャンライナー”なるムックだ。(当店の御馴染み様は、店頭販売中にもう随分お買い上げいただいたと思いますが・・・)商品のページにも書いたが、もうちょっと裏話をすれば、そもそも、こんな素晴らしい内容の本が、残念なことに絶版(在庫僅少)・・・これに危機感を覚えたのが今年の初めだ。日本で、客船ネタに詳しいとなれば・・・大阪の工藤さんとなるが、残念なことに鑑定団にはご出演されても著作は出されていない。やっぱり、今のところ、戦前の客船黄金時代を知るには、件のムックが最適だ。僕も洋書中心に勉強を始めたものの、知識が乏しいところでいきなり英語の本を読み始めても、だんだん長い文章になってくれば英語がかなりチンプンカンプンで、結局”栄光のオーシャンライナー”である程度の基礎知識を得てから勉強がぐんと捗るようになったものだった。で、さしたる目的も無かったが、ワールドフォトプレス社にそのあたりの在庫事情を聞いてみようと電話した。たまたま応対してくれたのが、このムックの編集に携わった方で、この本の素晴らしさを率直にお伝えした。ところが、作ったご本人達も、その辺りがわかっていないのだ。曰く「ウチは、モノマガ、アビエーション、時計あたりが主流で、実は船はこれが最初で最後だったんです・・・社内的には(販売面からすれば)失敗作で・・・」僕は中野の出身で、ワールドフォトプレスも良く知っていたし、学生時代は友達がバイトしてたりもして馴染みも深いので、そんな話も交えて盛り上がりながらオーシャンノートのこともお話したら、率直のこの本の素晴らしさをお伝えしたことにこれまた大変感激いただいて、結局は”栄光のオーシャンライナー”を販売させていただくこととなったのだ。本の流通は閉鎖的だから”特例”である。ただし、日本では再販価格維持制度があるため、価格も定価のまま、お安くすることも出来なければ、将来プレミア付きで販売することも(当社では)ない。
さて、そんな”特例”がもうひとつ。氷川丸物語である。本書も当店での販売開始から2年近くになる。その間、かれこれ100冊近く販売させていただいたが、いよいよ、かまくら春秋社の倉庫に眠っていたデッドストック書も底をついた。当店在庫は現在1冊のみだが、次回入荷が何冊入ってくるかわからないが最後となる。この本は、古書でも大変良い値段が付く本で、一時は5000円くらいの相場も見受けたし、某通販大手ではユーズドで最低価格が4000円近い。(2008年10月24日調べ)著者の高橋茂さんは亡くなっており、ご遺族との合意に至らないので、これも重版はされない。以前にも書いたが、この本が店頭で入手できるのは神田書泉と横浜有隣堂とオーシャンートなのだが、大手書店を向こうに回し?オーシャンノートの独壇場で、現在のデッドストックの殆どはオーシャンノートが販売している。思えばひょんなことから出会った本(2007,5,25店長日記)だったが、いよいよ最後となると寂しいもの、ただデッドストックの本がテッシュペーパーになってしまわず、少しでも読んでいただける機会を提供できたことは・・・お客様にとっても氷川丸にとっても何よりだったと思っている。(2008,10,23)
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