06/02 三菱重工長崎造船所とQM2の記事

鳩山総理の進退問題が騒がしい中(これを書いているうちにお辞めになることを発表してしまった・・・大騒ぎである)、今朝の新聞一面は政局を押しのけ”三菱重工が客船の造船受注を再開”との囲み記事が出ていた。”中止”していたとは思っていなかったのだけれど、ダイアモンドプリンセスの建造中に火災事故を起こしてから安全体制の再構築に時間がかかり事実上、受注を中止していたとのことだ。造船業界全体で見ても、かつての造船王国ニッポンは2002年に韓国に抜かれて以来水を空けられる一方で2009年には竣工トン数で、韓国2893万トンに対し日本は1889万トンに留まっているそうだ。

造船業全体に占める客船のシェアは大したものではないようで、コンテナ船、LNGや石油のタンカー、自動車運搬船などがほとんどのようなのだが、建築土木と同様、造船はスケールの大きい造作だから人手も多く必要だし、特に客船は造船所(もっと言えばその国)の技術や文化レベルを問われる産業だから大いに造船王国ニッポンをアピールできるように頑張っていただきたいものである。以前にも日記に書いたけれど、かつて職人が腕を競ったのは”船舶という分野”だったのだから。経済面には記事の詳細で韓国が昨年11月、とうとう大型客船を受注したという話も書かれていたので、かつて太平洋のオーシャンライナーをやっていた日本だから、その伝統・・・遺伝子は残っていると信じたいものだが、状況は簡単なものではないと感じた。

そんな、大型客船を巡る状況で杞憂するのは、28日に神奈川新聞に載って関東以北の船キチの間で騒ぎになった、クイーンメリー2横浜寄航中止のニュースだ。ベイブリッジをくぐることが出来ず大桟橋に着岸できず、昨年、今年と大黒の貨物埠頭に着いたクイーンメリー2だが、とうとうそのことがネックになって横浜寄航を中止、来年の寄航を大阪に変更、今後も横浜に寄航する可能性が低いとのことだ。(昨年に日記にベイブリッジの高さの話は書いたのでご参考まで)

いずれにせよ、今更、橋の高さを上げることはできないだろうし、新しい客船ターミナルを作ることが現実的かどうかはわからない。しかし、よくよく考えてみれば、アジアのハブ空港競争と同じように海の方の港でも国際競争で競えるレベルにないことが現実化していることは事実なのだろう。もちろん、世界の貨物の取扱量ではシンガポール、中国の各港、ロッテルダム、ハンブルクなど、産業と密接に関わるので内需が限られる小国ニッポンでは土俵に上るのも難しいかもしれない。一方で客船の旅客数で考えれば、旅行会社や船会社の立場になれば、その港がいかに風光明媚で日帰りで楽しめる観光プランがいかに組めるかということに尽きるだろう。ベイブリッジの高さを上げたら解決できるものでもないということだ。クルーズ観光の需要は年5%で需要が伸びているそうである。観光立国ニッポンは以前からニッポンのテーマになっているのだし、世界で続々就航してくるであろう20万トン超の客船が無理なく寄航できる環境を港と共に観光環境と一体で整備してゆく必要があるのではないかと思う。造船だけ頑張っても駄目で仏作って魂入れずにならぬよう、一国の文化として”海”に向き合うのが良かろうと改めて考えさせられる2つの記事であった。(2010,6,2)

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