07/13 「価格破壊」 写真家の三野さん

先週のことになるが、アメリカの灯台の写真を撮っている写真家の三野富士夫さんが遊びに来た。三野さんとは、江ノ島の灯台グッズの店ライトハウスキーパーの山口さんが主宰される灯台フォーラムなるイベントでお目にかかったのが初めてだったのだが、”灯台”というテーマのイベントで100人からの人が集まるのも不思議なら、アメリカの灯台だけを撮る写真家というのも一風変わっていると思ったものだ。もっともフランスにもジーン・ギチャードなんていう灯台専門の写真家がいるが・・・さて、三野さん、個展とかを開く関係で額装とか額縁の価格も良くご存知である。普段は銀座のIという大きな店に額装を依頼するらしいのだが、「小野寺さん、価格破壊だね、これは」と当店の額装ポスターを見ながらおっしゃる。確かに、普段から”額とマットと中身”全て込みの価格ということが理解しにくいらしく、開業一年を迎える今でも「額がついているんですか?」と実店舗でも尋ねられるお客様は多い。それだけ、額縁や額装に”高価”というイメージを持っている方が多いということなのだろう。

そんな会話のあと、たまたま額装のポストカードを数枚購入されたお客様からご丁寧に御礼のメールを頂いた。「値段の割りに良い額縁でビックリしました・・・・」(後日談、また面白いご感想のお客様、曰く、丁寧な作りと梱包でヤフオク流にいえば「非常に良い出品者」・・・とのこと。良い商品に驚かれる・・・ということは、いかに良心的でない売り逃げが横行しているかとかということかもしれない。7月20日追記)

ここで一言断わっておけば、当店の額縁は、絵画用のとんでもない高級額縁ではないが、ポスター類を入れるものとしてはとても良いものを使っている。思うに、日本では額縁や額装の価格は高すぎるのだ。その原因を推測すればこうだ。やってみればわかるが、額装ポスターは正直言って、月に500枚も1000枚も売れるものではない。恐らく需要全体を見ても、家具類なんかよりも少ないのではないかと思う。でも、それで実際に生計を立てないとならないわけだから、必然的に値段が高くなる。で、高いから売れない。すると需要は伸びない・・・この悪循環?があるように思う。僕はといえば・・・元が画材や額装の出ではないから、ごく普通の常識的な利幅で値段をつけているつもりだ。(苦しいけれど・・・)

外国ではポスター類の流通も日本なんかより盛んなら、無数の街場の小売店はそれぞれの店で独自の額装を施してそれを売っている。僕のやっていることは”額装ポスター”の販売という意味で、この国では少し変わっているように見えるが、実は外国では当たり前の商売である。日本でこの手の商売は余り見かけないものの、個人的にはフェラーリのポスターが得意な神田の地球堂なんかは大好きで、随分刺激を受けたものだ。だいたいポスターだけを売るのも片手落ちなら、額装の場合、マットを使ったとしても何で白ばかりなのか不思議でならない。その辺を僕なりに突き詰めた結果がオーシャンノートの額装アートなのだ。

本人的には至って価格破壊しているつもりもないし、業界(ってあるのかしらん?)に挑戦しているつもりもない。ただ、良い図柄をなるべく良いものに仕立てたい。その一心だ。僕の実家は電気屋だったが、僕は僕なりに考えて電気屋を継がなかった。量販店の黎明の頃で、勝ち目がないと思ったのだ。まさか、秋葉原の老舗まで潰されるとは思ってもいなかったが・・・ところが、先日新聞である電気屋さんの記事が載っていた。量販店には出来ないきめ細かなサービスで繁盛しているのだそうだ。その店主の言葉が印象的だった。「価格競争には限りがあるけれど、サービスには限りがない」そう、一枚のポスターを額装するのにも散々悩む。それがサービス=僕の付加価値だと思っている。そして何事も長く続けるなら、浮利を得ず適正な利幅で正直にやることだと思っている。(2007,7,13)

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