02/01 日本郵船と出光

日本郵船と出光:店長日記 Ocean-Note

2月になってしまって今更だが、年末年始に読んだ本はどれも当たりで大層勉強になった。みすず書房大儲けのピケティの本は高価で買えなかった。ピケティの名前と論説は英語版出版の時に知り、どこかのテレビでスノッブな経済学者の解説を聞き「我が意を得たり!」と思っていた。僕は、世代的なこともあってケインズに肯定的な方だが、民主主義を錦の御旗とする資本主義経済国家というシステムは制度疲労のために、このシステム下のケインズが限界に来ている思っており、もし現状を維持したいなら所得の再分配機能を高める政策が必要だと考えている。公共投資が経済成長をもたらしたのはヒトラーやルーズベルトの時代であって、その後は公共投資に群がる搾取者たちによって的確な効果を得ることが難しくなっているのだと思う。ピケティが数学的に証明する限界には違和感があるけれど、「貧富の差を現状の資本主義経済が解決できない!」という点では「我が意を得たり!」なのである。

所詮、一商人に過ぎない僕がどーのこーの言ったところで始まらない。実際に読んだ本はどれも古書で、「二引の旗のもとに〜日本郵船百年の歩み」「海の昭和史〜有吉義弥がみた海運日本」「海賊と呼ばれた男」である。引用は割愛するが、共通しているのは資源のない島国である日本のシーレーンを、先人たちがいかにして築き守ったかというテーマである。郵船の方は定期船という、いわば国家の海路における公道を担う使命感をフィロソフィーとしていることが伝わる。海賊の方は石油元売り・小売りの出光のお話だが、新聞のコラムに書かれた日章丸事件のことを読んだのが古書を求めるきっかけとなった。これはシーレーンとは方向が違うが、石油のない日本が長期安定的に石油を買付輸入できることを熱望して行動した出光佐三のお話だ。出光は、米国管理下の護送船団式の割り当て輸入では日本の発展は望めないと考え、石油の国有化を宣言して英国資本を駆逐したイランの呼びかけに世界で唯一応じて、その輸入に成功した。この事件以降、石油メジャーの力は衰え、OPECやOAPECといった産油国側の発言権が大きくなったのはご存知の通り。そしてオイルショックもまたご存知の通り。イランという国は日章丸事件に恩義を感じ親日的なのだという記事だったが、確かに、ここで出光が失敗していたらイランは元より、中東の石油は今もまだ米英両国資本によって搾取され続けたかもしれない。

こんな、使命感を持って仕事に取り組んだ先人たちがいた一方で、少々残念に感じた話題が二つ。ヤマト運輸のメール便廃止とスカイマークの民事再生法申請である。以下引用 − ヤマト運輸が「クロネコメール便」を3月末で廃止することについて、日本郵政の西室泰三社長は28日の記者会見で「経費のかかる部分をやめ、かからない部分に集中する。明らかに作戦の転換だ」と指摘した。ヤマトは廃止理由について、顧客がメール便では送れない「信書」を送って郵便法違反に問われるおそれがあるとしているため、疑問を示したとみられる。 引用ここまで(朝日デジタル) これは、その通りと僕も感じたところで、独占事業の郵便に風穴を開けようとしたヤマト運輸ながら、結局メール便は儲からなかったから、儲かる企業DMのメール便だけ別サービスにして、それ以外を体よくお断りするということだろう。もちろん、民間企業たるヤマト運輸だから、利益を得なければならないのは当然だろうが、反面、そこに社会インフラを担おうとする使命感のかけらもうかがえない。まして、「信書を間違って送る顧客を保護する」という詭弁にすり替えた論理はいかがなものだろうか? 審判を批判した横綱とどっちこっちである。スカイマークもまたお粗末だ。乗ったことはないし乗ろうとしたこともないが、大きな飛行機買って、CAにミニスカート穿かせて挙句がこれでは交通機関の体を成していなかったのではなかろうか?それは、スカイマークの非にはあたらないが、茨城空港などは国内線の就航路線は全部スカイマークだそうだ。幸い営業停止という事態は避けられたようだが、もっと堅実に確実にやってもらいたかったものである。

非難と批判ばかりでお粗末はお詫びするが、それでも尚、先人たちの仕事に対する使命感に比べてどうだろう? かくありたいものである(2015,2,1)

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