05/20 横浜市指定文化財「氷川丸」調査報告書

『横浜市指定文化財「氷川丸」調査報告書』

氷川丸について書かれた素晴らしい資料を見つけた。「何だ、そんなの知ってるよ」と言われるかもしれない。恥ずかしながら、平成16年(2004年)刊行であるこの資料の存在を知ったのは、先日立ち寄った郵船博物館の図書室だったのだから仕方ない。少なくとも、この5年程、つまりは横須賀上町で営業していたオーシャンノート実店舗を閉店して以降、少しばかり時間に余裕が持ててあちらこちらへ出かけことが出来るようになって立ち回り先となっている場所では見たことがなかったというわけだ。郵船博物館の図書室も、たまたま調べごとの資料が不足気味で、苦し紛れに書籍を物色していたから見つけたようなものである。

船舶やら海運史、戦前の企業経営史に興味をお持ちの方ならば、恐らくは研究の一助たりえる資料として紹介する。無論、僕のように間抜けではなくて「ああ、読んだよ」という御仁は本記載ご勘弁を。ついでながら、お手許に、高名なアテネ書房刊「豪華客船インテリア画集」をお持ちの方なら、ご一読の価値ありと思う。

資料名は 『横浜市指定文化財「氷川丸」調査報告書』、平成16年3月、横浜市教育委員会発刊である。現在は、氷川丸マリンタワー株式会社が解散され、氷川丸は日本郵船の所有に帰し、往時への原状回復工事を経て一般公開されているが、これに先立つ平成15年11月に横浜市の文化財に指定された際に作成された調査報告書とのことである。内容としては大きく、仏マルクシモンによる内装とマルクシモンの業績・実績の考証等、氷川丸要目とその解説、氷川丸および大洋横断定期客船の概説、山下公園係留以降の経緯、資料・図面などである。

氷川丸という一隻の客船について、ヒューマンストーリーであれば、「氷川丸物語」や「氷川丸とその時代」に譲るだろうが、その設計、要目を、技術面・ハード面から解説した文書は他にはないだろう。また、日本郵船社史的な側面からみれば、要点を要領よく凝縮して記述されているので、既知の内容ながら判りやすい。浅間丸級、照国丸級、氷川丸級、新田丸級、橿原丸級・・・といちいち、あちこちを行ったり来たりしなくてよいから、大変重宝な一文に仕上がっていると思う。(特に、日本郵船工務部出身の嶋田武夫氏−執筆当時日本郵船顧問−の一文は、ちょっとないくらい良い。ちなみに、飛鳥の事業を立ち上げた、故竹野弘之氏の一文も収録されている) 巻末資料の中にある一般配置図および意匠図・・・これは当時の図面が三菱重工長崎造船所にマイクロフィルムで保存されているそうで、このコピーも附録されている。大変傷みが多く、戦後に三菱重工で引き直された一般配置図の方が見やすいのは当然としても、これまた一見の価値ありである。

ボリュームは結構あって、横浜市教育委員会の刊行物から格上げして、書籍として発刊してもらいたいほどの内容。2時間ほどかけて大雑把に一読したが、ゆっくり読むのは時間があるときに譲るとする。そのくらい充実していると思う。入手は、横浜市庁(先日、大阪市の廃止の有無を巡って住民投票、大阪市存続は決定したようだが、横浜市もまた二重行政といえば二重行政にあたる政令市である。個人的には行政改革には大賛成だが、横浜市で「横浜市役所」でなくて「横浜市庁」となっているのをみると、かなり自尊心を強くお持ちのように感じられ、なかなか難しい問題なのだなと思う。「横浜市」が無くなって神奈川県横浜区って言われてもねえ・・・大阪市廃止反対の「気持ち」も理解できる。かと言って、横浜の場合、神奈川県を横浜県というわけには・・・いかないわなあ)の1階、関内駅から横浜市庁舎に入ってすぐ右側の刊行物販売コーナーで売っている。2100円也である。郵送もやってくれていて、この場合、郵送料350円を加算、つまりは2450円を切手代用で書留で送ると発送してくれるとのこと。問い合わせは横浜市市民局市民情報室(045-671-3600)まで(2015,5,20)

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