01/13 ジクレープリントポスター ジクレー とは?

ジクレープリントのポスター・ジクレープリントとは:店長日記の写真:ポスター販売・Ocean-Note

仕事を続けていて、日々、少しづつでも新しいことに取り組んでゆけることは、実に喜ばしいことだ。知人やお客様から、価格が「安い、安い」と言われるのだが、別に安物を売っているわけでもなければ、安売りをしているわけでもない。以前にも書いたとおり、”適正な利益”を心がけているのみだ。そういったお言葉へのアンサーでもないのだが、もう3年以上前から恋焦がれていた、少々値の張る”ジクレープリント”のポスターにとりかかっている。1936年の客船クイーンメリーのポスター、1939年のフレンチライン・ノルマンディーのポスター、1932年の日本郵船のポスターをリリースした。印刷技術で、今後、最も品質の向上の可能性を持つのは、インクジェットのプリント技術だといわれている。日々、プリンターで写真をプリントしていて、誰もがその画質の向上の速度には驚いていることと思うが、このインクジェットの最も先端を行く技術のひとつがジクレープリントの技術だ。

そもそも、オフセット印刷の技術が発明されたのは19世紀末、普及したのは第二次大戦後のことだ。戦前のポスター類はリトグラフやシルクスクリーンが主流であり、何のことは無い、当時の”量産品”だったのである。リトグラフから発展したのがオフセット印刷で、抜群の耐久性と安価なことが強みだが、インクの層が薄くシルクやリトに比べ立体感に欠ける。つまり、元から平面的な出力である写真の複製に向くものであり、写真技術の進歩と二人三脚で普及したという見方もできるし、絵画や原画のオフセットによる複製は他ならない、写真で撮影したものをオフセットで印刷するわけである。すると、立体的な油彩画は論外、シルクやリトでもインクの層の厚みはオフセットの10倍以上あるものなので、オフセットで複製すると質感に欠けてしまう。美術館や博物館では、シルクやリトの作品を持っていても、退色や傷みを恐れてオリジナルの展示に長年悩んで来た。博物館・美術館級のシルクやリトは製作から100年あたりになってきているから止むを得ないことだ。ひとつには、この博物館や美術館の所蔵作品複製のために生み出されたのがジクレープリントなのだ。”ジクレー”とは、フランス語で”吹き付ける”という意味で、孔版、石版を介さずインクを直接紙に吹き付けるプリント技術だ。手順としては、オリジナルの作品をスキャニング、折り跡や傷等の修正はそのデータを修正する。あとはオリジナルに忠実な色校正を重ね、プリンターで出力するだけだが、最高は500色以上の顔料インクを使用して数万色の色表現をする。出来上がりは、簡単に言えば、絵画イラストレーション作品であれば、シルクスクリーンのような質感になる。もっともシルクの孔版より、ずっとインクの吹き付けの粒子が細かいので美しい。複製だけではなく、新たな作品もジクレーで製作するアーティストもいる。シルクやリトでは色数だけ版が必要だが、上記のように実に数万色の表現が可能だからだ。驚くべきはその耐久性で、使用状態にもよるが、きちんと額装すれば200年と言われる!

まず第一弾で、西海岸サンタバーバラで製作されたものをリリースしたが、近々、英国のハル(ヨークシャー東部の港町)で製作されたものも届く予定だ。こうして戦前に使用された客船のポスターを飾って眺めるのはご機嫌だし、当のイラストの製作者の思いにも少し触れたような気がする。もっとも、当のご本人は、まさか21世紀になって自らの作品が複製される価値を持つとは思っていなかっただろう。当時は画家が芸術家であり、ポスターのイラストレーションは職人の世界だったのだから・・・そのような時代背景とアールデコの話は、またいずれ書いてみたいと思う。(2008,1,13)

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