02/14 プニップ・クルーズ

客船クイーンエリザベスのポスター:店長日記の写真:ポスター販売・Ocean-Note

中には、ポスターを買い集めているときに、お客様の顔が浮かぶこともある。例えば、このポスターはタグボートに乗っておられた「Sさんにピッタリだなあ・・・」などと。クイーンエリザベスがニューヨーク、かの有名な88番ピアーにタグボートに引かれて接岸しようとしている。おまけに、後ろにはユナイテッドステーツが係留されているという、とってもおいしいポスターなのだ。案の定、Sさん、「これ、貰うよ・・・」と。商売人としては、トリプルプレイを完成させたような快感を得るわけだが、驚いたのはその一週間後、Sさんが書籍を持って来て、右側の少し小さい船のことを話すのだ。持ってきた本を開き「これは俺が15歳の時に、初めて自分のお金で買った本なんだよ」とおっしゃる。昭和34年刊、朝日新聞社による”世界の客船”なる本だ。で、その口絵の船を指差し「俺が一番最初に憧れた船だよ。このポスターの右の船はこれだよ!」と。僕は大きくて速い船のことばかり、端的に言えばブリーリボンライナーを掘り下げているいる人だから、正直、そこまで目が行かなかった。ユナイテッド・エキスポート・ラインズの貨客船だったのだ。あいにく3姉妹船なのでどれかは判らないが・・・。Sさん、僕がタグボート!ユナイテッドステーツ!なんていっているのに、同じポスターを覗き込みながら、その少し小さな船に見入っていたわけである。スクイズのサインだと思ってスタートしたら、結果的にバッターは知らん顔、ホームスチールが成功してしまった気分、改めて、世の中、広いと感じる訳だが・・・

客船クリキュアのポスター:店長日記の写真:ポスター販売・Ocean-Note

電話が鳴った。「明日はお店は開いてますね?」。翌日、遠路、東京西部の某市からお越しになったのはNさんだ。「2〜3ヶ月前からウゥブを拝見して、一度伺いたかったんですよ」と。ありがたいことだ。結局、4時間近くお話させていただいて、実に楽しく勉強になった。Nさんは、保存船の研究の集まりに参加されていて、氷川丸再公開あたりを目指して、その研究成果をお仲間の皆さんと共に小冊子にまとめることにされているとか。その知識は恐るべきものがあって、丸の内に飾られている、話題の100分の1の客船ノルマンディーのことで、デッキの形状を論じる方が、日本におられるとは思わなんだ。(それに関しては、1939年から2年間、ニュヨークに係留されていた時間が長かったから資料が後期のものが多いのでは?と僕も一応お答えしたが、大好きなノルマンディーでも、さすがにデッキ形状で年代までは看破できない)その知識に驚くことは多かったが、店にアウトレットで飾ってあるこの写真を見て「クリキュアですね。バナナボートですよね。同型船は5隻で・・・」、ま・さ・か!クリキュアを知っていて「好きなんですよ、この船」などという方がおられるとは、夢にも思わない。またまた、世の中広いぞ!と・・・。Nさんは”プニップ・クルーズ”というブログを書かれていて、船の絵の腕前も大したものなのである。

人の興味の切り口は様々、僕は改めて言えば、ヨットでも客船でも、それを建造物や建築のように見ているところがあって、つまりはポスターやインテリア、その船やヨットにまつわる全てを含めて”デザイン”なのだ。だから、乗って楽しむ、あるいはヨットレースに出たいというものでもなく、その美しい”形”や、内装、アドバタイジングの”デザイン”にフォーカスしている。で、元が”調べ魔”みたいなところがあるので、興味を持つととことん調べる。しかし、Nさんにお目にかかって思ったことは、切り口は様々であり、いろんなことを話して、横断的に知識を集約してゆくことは大変意義のあることと思う。最近も、戦前のアメリカの客船会社が発展しなかった理由、長いこと、当時のアメリカにまだ欧州諸国ほどの技術が無かった・・・・と思い込んでいたら、何のことはない、アメリカの船は禁酒法によってお酒が無かったので、誰も乗ろうとしなくて後塵を拝していた・・・こんなことが判らなかった。もっと物事を横断的に研究すればそんなことはないのである。しかし、海も広いが世の中も広い。Nさんに敬服である。(2008,2,14)

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