● 1910年代 ロイヤルメールシップの写真 額入りジクレーアート
≪Royal Mail Ship≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
撮影者 :anonymous
撮影年 :1910s
額縁・マット : カマボコ型 12mm t=1.5mmx2枚ダブルマット 前面1.8mm厚UVカットアクリル(クラレ・コモグラス)
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 525mm x 410mm
作品サイズ : 407mm x 272mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは417 x 282mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中の写真家やアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せは銀塩写真とは比較にならない耐光性を持ち数十年単位の鑑賞に耐えます。写真データに傷や劣化の補修、コントラストなどの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1910年代 ロイヤルメールシップの写真アートプリント
1912年頃、アイルランド・クイーンズタウン沖留めの客船に、大量の郵便物と乗客、乗客の荷物を積み込む写真です。
船の接頭辞というものがあります。例えば、あの名船ノルマンディーでは単に「normandie」とするとフランスのノルマンディー地方の意となるため文脈上の不都合が生じます。「la normandie」とすることもありますが、客船ノルマンディーを指す場合には、利便上「S.S. Normandie」という言い方をします。この「S.S.」の部分を接頭辞と呼び、商船に使用されるもので40~50種類ほどあります。「S.S.」は「steam ship」の略です。明確な間違いがなければ、接頭辞の使用は俗称に任せられており、そのノルマンディーを例にすれば、技術的には蒸気タービン船=Turbine Steam Shipの「T.S.S.」を用いるべきところ、そのように呼ばれることは余りありません。浅間丸、氷川丸など、日本郵船のディーゼル船はMoter Ship、またはMotor Vesselの接頭辞「M.S.」か「M.V.」を使用します。
技術的な面から使用される接頭辞とは別に、歴史的にも重要な役割を果たしたのはRoyal Mail Ship、すなわち英国郵便船を指す「R.M.S.」でした。帆船時代に郵便物を運んでいたとしても、それをRoyal Mail Shipとは呼びません。19世紀、蒸気機関の可能性に様々な挑戦が始まりましたが、1938年、英国の蒸気船シリウスが補助帆走なしの蒸気船として初めて大西洋を18日間で横断、この有用性に着目した英政府・英海軍は1939年、蒸気船による大西洋横断の郵便輸送の入札を公示します。条件は1840年までに3隻の蒸気船を建造し、月2回の出航で英国・ハリファックス間の郵便輸送を年55000ポンドの補助金で行うというものでした。この入札に応札したのがイングランド系カナダ移民二世のサミュエル・キュナード、キュナードはすぐさま蒸気船を3隻発注しますが、請け負ったグラスゴーの造船技師ロバート・ネイピアからの助言を受け、4隻の方が確実で米大陸側の着地は米国ボストンにすべきとの変更を英海軍に具申、これが受け入れられ補助金は年60000ポンドに引き上げられます。キュナードは1840年、ブリタニア、アカディア、カレドニア、コンロンビアの4隻を擁して郵便輸送を開始、この英国からの郵便輸送請負業務に使用する船はRoyal Mail Ship、すなわち「R.M.S.」の接頭辞を名乗ることが初めて許されました。「R.M.S.」接頭辞の船は、郵便輸送に従事する間はマストにペナントを掲げ、船体にクラウンを取り付けることとされていました。
現代では想像できませんが、電話もインターネットもない時代、郵便は唯一無二の通信手段であり、多くの海外領土を統治する大英帝国にとって外航航路が血管ならば郵便はまさに血液、速度はともかく、帆船のように風任せではない定期的で確実な郵便輸送は、どれだけのコストを掛けても維持すべきものでした。この郵便輸送へ莫大な補助金が費やされましたが、この補助金が客船の運行を支えていました。客船運航は、実は旅客輸送だけでは赤字というのが実情で、その船会社の収支は郵便輸送の補助金によって賄われていました。大量の使い込まれた麻の郵便袋、これだけの郵便物が行き来していたことが分かります。実は、それだけ重要な役割を果たしていた郵便輸送ながら、郵便物が船に積み込まれる様子が写された写真はほとんどありません。興味深い写真です
・ 雑感
英国の海外領土への郵便輸送に対する執念とプライドは相当なもので、当時の海外領土に対する郵便料金は英国国内扱いでした。キュナードで言えば、クイーンエリザベス2の時代には船内郵便局の分を除いて郵便輸送は中止されましたが「R.M.S.」の接頭辞の使用は英政府によって公式に認められており、2003年に就役したクイーンメリー2は、最初から郵便輸送を行いませんでしたが、名誉称号として伝統の「R.M.S.」の接頭辞及び郵便船を名乗ることを許されています。Royal Mail Shipばかりが飛び抜けて高名ながら、米国の郵便輸送には「U.S.Mail Ship」という呼称があり「USM」の旗も掲げられていましたが、接頭辞として使用されることはありませんでした。日本の郵便輸送も同様、郵便船には、現在でも使用されている郵便局や郵便番号を示すあのマークの旗が掲げられましたが、文中にJapan Mail Shipと言われることがあっても、接頭辞は存在しませんでした。大英帝国のRoyal Mail Shipは特別でした (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Photo Ocean Liner INDEX
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納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】