● 1986年 客船クイーンエリザベス2と自由の女神の写真 額入りジクレーアート
≪QE2 and Liberty≫
額縁・マットの色をプルダウンにてお選びください
送料無料。お届けはご注文後約7日です。価格にはアートプリントとマット・額縁、全て含まれます
撮影者 :anonymous
撮影年 :1986
額縁・マット : カマボコ型 12mm t=1.5mmx2枚ダブルマット 前面1.5mm厚クリアーガラス
額縁とマット色をお選びいただけます
・黒艶消し額縁 X ブラウン/ライトベージュ・ダブルマット
・白ツヤ額縁 X ネイビー/ライトブルー・ダブルマット
額縁サイズ : 525mm x 410mm
作品サイズ : 407mm x 272mm (内側マット抜きサイズ、表側オーバーマット抜きは417 x 282mm)
当商品は伊勢和紙に顔料インクを用いたアートプリントを国産材料で額装したものです。奥行きを持たせる濃淡色二重のダブルマット仕様です。伊勢和紙は伊勢神宮の奉書紙として漉かれ全国の神宮大麻に使用されています。インクジェットに意欲的で、伊勢和紙アート紙は新たな表現材料として世界中の写真家やアーティストに使用されています。マーメード紙程度の表面テクスチャーによる風合いが楽しめ、無酸性紙に顔料の組合せは銀塩写真とは比較にならない耐光性を持ち数十年単位の鑑賞に耐えます。写真データに傷や劣化の補修、コントラストなどの可塑修正を施し、テストプリントを繰り返し微調整して仕上げています
● 1986年 客船クイーンエリザベス2と自由の女神の写真アートプリント
1986年、機関換装直前のQE2・クイーンエリザベス2、自由の女神を見てニューヨークを出航する写真です。
QE2のファンネルは40年間の活躍で見慣れたましたが、1969年の就役当時はユニークな形状に人々は戸惑いました。船のファンネルは、蒸気船誕生時にはボイラーを炊いた煤煙や煤を上昇気流で放出する単純な煙突「スタック」で、煤煙や煤を落とさないように長く高くなってゆきました。ボイラーとスタックは接合されてはいませんでしたが、ボイラーの数が複数になり熱量が増すとスタックの熱が火災の原因となります。そこで外側を筒状のカバーで覆い、そのカバー部分にスリットを入れて空気を取り入れ、この空気が高温のスタックと接してできる上昇気流を利用して排気を行うようになります。この外側カバー部分を「ファンネル」と呼びます。従って、正確には内側がスタック、外側がファンネル、これが総称「ファンネル」です。やがて、ファンネル内側の隙間に機関室から高圧の空気を送り強制排気をするようになると、機関室は負圧になって船上の通風塔は不要となり、ファンネルはボイラーの上に設置される必要も筒状の形状である必要も無くなりますが、その形状を変える試みはほぼ皆無でした。外ファンネルの温度が塗装に耐える程度に下がり、これに色を塗ることが(キュナードの赤朱色はその先駆けのひとつ)船の識別とアピールという点で重要になり、また、あのファンネルが客船の外観デザインをまとめるために有用だったからです。すでに、一方ではボイラーの無いディーゼル機関船も続々建造され、もはやスタックがマフラーにとって代わっていても、ファンネルのカバーを付けて従前の船のデザインを踏襲していました。
QE2のファンネルは、この伝統と慣習に一石を投じたと言えます。実際には20種類以上のファンネルが設計され風洞実験を繰り返したと伝わります。幸いQE2のボイラーは3基のみだったので、スタックは細く出来ました。ここを流線形のファンネルで覆い、スタックとの隙間を船内の生活排気で満たすことで圧力を上げ、最終的に前方から後方に向かってジャンプ台の様にせりあがるカウリングで上部後方へ排気を流すという考え抜かれた設計になっています。QE2の挑戦は一定の成果をあげており、今日のキュナードラインの客船にも応用されて活かされているのはお判りの通りです。
QE2のオリジナル・ペンシルシィンファンネル(薄い鉛筆型の意)は、就役時には黒のスタック部の周りに白のファンネルとカウリング、カウリング内側のジャンプ台面のみがキュナードレッドで塗られていました。キュナードレッドがない・・・これも伝統と慣習から見れば、キュナードのアンデンティテイーを無視したものと物議を醸しだします。キュナードはその声を黙殺しますが、フォークランド紛争軍役の後にファンネルのキュナードレッドが復活します。1982年6月11日にサウザンプトンに帰港して客船への戻し改装で9週間のドック入りをすると、QE2は船体の塗装を変えました。シアーラインから上は白のままでしたが、船体をグレー、ファンネルは白から赤に塗り替えられました。ファンネルは赤になったばかりでなく、横に2本の黒いダミーの目地塗装も入れられます。これは、筒状ファンネル時代に一周回された鋼材が二本、黒い目地に見えたデザイン上の特徴を踏襲しています。この時のグレーの船体は大変に評判が悪く、翌1983年にはチャコール塗装に戻されましたが、ファンネルのキュナードレッドは残されました。そして、1986年から87年にかけ、QE2は蒸気タービンからディーゼル電気推進へ機関換装の大改修を受けます。内燃機関への換装なので、当然、従前のスタックは使用できず、スタック、ファンネル、カウリングを丸ごと交換しました。排気管の容積が増したために、ファンネルも幾分太めになり上部にはスリットも入れられますが、塗装はキュナードレッドのまま、このファンネル一式が2008年の退役まで使用されました。
実は、QE2のオリジナルファンネルのキュナードレッド時代、1982年から1986年の写真は、理由はわかりませんが余り見ることが出来ません。フォークランドで一定の存在感を見せたものの、将来の見通せないQE2に興味が失われていたのかもしれません。機関換装は大成功と言えるもので、燃料消費が劇的に改善された結果、QE2はやがて来るクルーズ客船時代への胎動という大きな役割を果たしてゆくことになります
・ 雑感
フェンネルに塗った色がファンネルマークに発展して船の識別に重要な役割を果たしていますが、これは規則や法律があるわけではなく、単なる国際的に定着した慣習です。P&OやMMフランス郵船など、色を塗らずに黒で通した船会社もあります。(その場合は黒がファンネルマークになった訳ですが) さて、旅客機が空港で事故を起こした場合、垂直尾翼のマークを塗りつぶして見えなくしてしまうことがあります。この作法は実は船から始まっていることです。かつて、港で座礁してしまった船は、危険を回避する対応を終えてからまず第一にファンネルを黒く塗りつぶしてしまいました。不名誉を隠すためです。現在もこの習慣は残っており、現在は当局と協議して許可を得た上で塗ることになっています。これは、航空機の世界でも同様で、隠蔽工作ではなく、あくまで当局の許可を得た上で塗ることになっています。不名誉を隠すことを許可、いわば武士の情けでしょうか。船のファンネルというものは、ただ見て面白いだけでなく、船の顔といえるものであり、これだけで一冊の本になる蘊蓄の宝庫です (T.O.)
【Maritime Gallery Ocean-Note】
● ジクレーアートプリント・客船 LL/Photo Ocean Liner INDEX
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納入事例
客船ポスター四方海話
船と港のエッセイ 1
船と港のエッセイ 2
【Maritime Gallery Ocean-Note】